3市町村が一つになって
私が今住んでいる茨城県笠間市は、平成の大合併をする前は、友部町という小さな町でした。水戸市に近く交通の便や福祉政策には定評のある場所でした。
県立の中央病院があり、かつてはリハビリテーションセンターもあったので、お年寄りや障がい者には大変住みやすい土地です。
主人は私より先にこの町の障がい者が働ける会社に勤めており、しばらくは会社の敷地内の寮に住んでいて、私は主人との結婚を機に同じ町内に引っ越して現在に至っています。道路事情もよく車椅子や杖の生活でも身動きが取りやすいです。町中を散歩していると車椅子の人がよく出歩いており、お店や駅の作りも体の不自由な人にとっては、出入り口も広く、鉄道利用時も駅員さんが案内をしてくれます。
私と主人が生まれ育った土地は別な場所ですが、道路が狭く坂道ばかりや砂利道で舗装されていない道が多く、とても住みにくかったです。
今の笠間市は3つの市町村が合併し、市としての土地がとても広くなりました。
昔の友部町単体だと医療福祉関係は充実していましたが、観光面ではこれと言ったものがなく、少し寂しいところでした。合併後、隣接していた旧笠間市は、笠間稲荷神社があり商売、交通の神様が祭られているため、県内外から年越しや初詣に多くの方が集まります。主人のお父さんは運送業を営んでいたので、かつては60㎞以上離れた笠間稲荷神社まで大みそかにお参りに来ていました。
古くから笠間は陶芸が盛んで焼き物の町と言われています。焼き物に適したよい土が山から出るので、窯を持った陶芸屋さんも多く、年に1回ほど陶芸市が開催されています。骨董品から新作まで、自分好みの焼き物を買うことができます。最近では、美術関係に力を入れるようになり、美術館が新たに建てられて静かな観光に一役買っています。
そしてこじんまりとした手打ちそば店が数件あり、店主が元大工さんなどで経営しているお店があり、近くに住んでいる方に聞くと素朴で美味しいと言います。
笠間稲荷では秋になると菊祭りが開催され、神社の周辺だけではなく、駅前や公民館などに流行を取り入れた菊人形が飾られ、多くの観光客が訪れます。神社の周辺は空いている土地が駐車場に変わるため、遠方から来る方にも喜ばれています。昔から伝統的に行われているので、主人は小学生の頃の遠足で観に来たことがあるそうです。私は静かな場所で鑑賞したいので公民館で飾られている時にゆっくり見ています。
一方で旧岩間町には農業が盛んで栗、梨、ぶどうなどが美味しくたくさん作られています。広い通りに出ると、野菜や果物の畑の近くに、お金を箱に自分で淹れる無人の簡易直売所が点々とあります。また岩間駅側に世界で唯一の合気道の神社があり、私の息子も体が丈夫だったら、合気道の道場へ通わせたかった希望がありました。
寂しくなってしまった飲食店
しかし、コロナの影響で夏のイベントの中止が続き、とても寂しくなってしまいました。元々少ない飲食店でも時間短縮や営業をしていないところも増え、美味しい定食屋さんがクローズしていて、家族で食事に出かけることが大分減りました。息子の大学でも授業の半分がオンライン授業になり家にいることが多くなり、食事のメニューもマンネリして飽きてしまいます。そんな中で、旧友部地区ではちょっと大きめの割烹料理店がお店に来るお客さんが減ってしまったので、持ち帰り弁当専門店を始めました。その場所には、以前はコンビニが営業していて、2年位で止めてしまって、新しく車が出入りするようになり、外壁が白く覆われていて何をやっているのか全くわかりませんでした。少し時間が経った頃、小さなプレハブが建ち、その周りを白いワゴン車がたくさん止まっていました。よく見てみるとお弁当の文字が書かれたのぼりが何本も立ち、お弁当屋さんが始まったのだとわかりました。
美味しいお弁当屋さん
近くにできたお弁当屋さんはここで3軒目になり、前の2軒はあまり馴染みのないお店だったので、立ち寄って買うことがなかったのですが、介護施設勤務の知人にボリュームがあって彩りもよく美味しいと聞き、早速買いに行きました。
その時はお弁当の種類は3つしかなかったのですが、税別500円で買えるので家族分を買って食べてみました。評判通り、量がしっかりあり、おかずの味付けも美味しく、1つのお弁当に魚もお肉も入っていて、野菜や豆腐の煮物も添えられていて、満足のいくものでした。息子はコンビニ弁当だと量が足りず必ず2つ食べていました。最近のコンビニ弁当は小ぶりになり、脂っぽくてバランスがよくないと思っていました。そこにお弁当屋さんのメニューは、量とバランスと見た目が豪華で息子のような若い世代から、私や主人のような中年でも飽きずに美味しく食べられます。一度お店のパンフレットを貰った時に、よく読んだら割烹料理を行っているお店だとわかり、だからこんなに焼き魚が美味しいし、和風も洋風も充実しているのと思いました。無料でくれる即席みそ汁と天かすは、おかずがない時のお助けの1品になっています。ただ営業時間が朝7時30分から13時位まででお弁当がなくなったら閉店してしまうので早めに行かないと好きなお弁当が選べません。私は、普段休日だとお昼まで寝ている主人を早く起して、ローストビーフ弁当があったら買って来てと言い、お昼近くの11時には行って貰っています。私の地元の紹介としてこのお弁当屋さん「万葉」を推したいと思います。